「マーケティングの担当者がいない」 「広告やSNSの運用まで手が回らない」 「制作会社に依頼しているのに問い合わせが増えない」。 中小BtoB企業では、人材の採用が難しいことに加え、 マーケティング業務の範囲そのものが 曖昧になっている場合があります。
ただし、人材不足を必ず採用で解決する必要はありません。業務の整理、既存担当者の育成、 必要な作業の外注、責任者機能の補完など、 問題に応じて選択肢は異なります。
この記事では、マーケティング人材不足を 5つの方法で解決する考え方と、 社内で何を確認し、どの順番で 着手するべきかを具体的に解説します。
FIRST STEP
人を増やす前に、不足しているものを 3つに分ける
「マーケティングができる人がいない」 という言葉には、異なる3種類の問題が 含まれています。
01
実行する時間
方針はあるが、記事制作やWeb更新に手が回らない。
02
専門的なスキル
SEO・広告・分析など、特定分野の技術が不足している。
03
決める人・仕組み
誰に何をするか、予算や優先順位が決まらない。
作業する時間が不足しているなら 外注や業務の削減が候補です。 技術不足なら育成や専門家の活用を検討します。 一方、施策を決める役割が欠けている場合は、 人を増やす前に責任者機能を 整理する必要があります。
判断者の不在については、マーケティング責任者がいない会社の7つの問題で詳しく解説しています。
BACKGROUND
中小企業でマーケティング人材不足が起きる 3つの背景
業務範囲が広すぎる
顧客調査、戦略、Web、SNS、広告、分析、 制作ディレクションを一人に任せようとすると、 採用要件も業務量も過大になりがちです。
営業とマーケティングが分断されている
営業側の受注情報が共有されないと、 どんな顧客を集めるべきかが曖昧になります。 結果として、施策の評価もPVや投稿数だけに 偏りやすくなります。
人を増やす前の業務設計ができていない
必要な業務・判断権限・成果指標が決まっていないと、 採用しても外注しても 「結局、社長が全部確認する」 状態になりやすくなります。
FIVE SOLUTIONS
マーケティング人材不足を解決する 5つの対策
やることを減らし、必要な業務を整理する
SNS、広告、ブログ、動画などをすべて継続していると、人を増やしても業務が膨らむだけになることがあります。最初に、各施策の目的・担当時間・費用・成果・継続理由を一つの表にまとめます。
向いている状況
担当者が忙しい一方で、施策の目的や成果が整理されていない場合
最初に行うこと
「商談や受注への貢献が分からない」「今の顧客像と合っていない」施策を洗い出し、停止・縮小・継続を決める。
注意点:短期間で数字が出ない施策を機械的に停止しないこと。検討期間の長いBtoB商材では、接点から受注までの時間も考慮します。
社内担当者の育成と役割の再配置を行う
社内担当者には顧客理解や営業部門との連携という強みがあります。必要な業務を一度に任せず、アクセス分析・コンテンツ更新・問い合わせ管理など、具体的な業務から範囲を広げます。
向いている状況
顧客・商品を理解した担当者がいるが、分析や集客の経験が不足している場合
最初に行うこと
担当業務と判断権限を明文化し、週次レビューで数字・実施内容・課題・翌週の行動を確認する。
注意点:教育担当者の時間を確保できない状態では定着しません。戦略設計まで任せるのか、運用を任せるのかを分けます。
不足する専門人材を採用する
採用前に「何を改善したいか」と「どこまで権限を渡すか」を決めます。広告運用、SEO、Webディレクション、分析、施策統括では必要なスキルが異なります。
向いている状況
継続的な業務量があり、マーケティングの知見を社内資産として蓄積したい場合
最初に行うこと
求人票を「担当業務・成果指標・利用ツール・意思決定範囲・必要な経験」に分解し、採用後90日で期待する状態を定義する。
注意点:「マーケティングを全部できる人」を前提にすると、採用要件が曖昧になります。採用期間・人件費だけでなく育成・管理工数も見込みます。
採用と外部活用の比較は、マーケティング責任者の採用と 外部委託の比較記事も参考にしてください。
制作・運用などの実務を外部パートナーへ委託する
専門性の高い実務を外注すると、固定人員を増やさず必要な制作・運用リソースを確保できる場合があります。ただし、外注先を増やすだけでは施策間の優先順位は決まりません。
向いている状況
方針は決まっているが、Web制作、記事制作、動画編集、広告運用などの実行工数が足りない場合
最初に行うこと
発注前に目的、対象顧客、納品物、責任範囲、修正条件、評価指標を共有し、社内の窓口を一人決める。
注意点:制作費の安さだけではなく、社内の確認工数・納期・品質・改善提案の範囲を含めて比較します。
外部マーケティング責任者の機能を活用する
必要なのは制作担当者ではなく、顧客像・戦略・KPI・予算配分・外注先の管理を横断する責任者機能かもしれません。この場合は外部の伴走支援を活用する方法もあります。
向いている状況
社内に施策の優先順位を決める人がいない、営業と施策がつながらない場合
最初に行うこと
外部支援の契約前に、診断だけか、戦略設計か、実行管理・改善会議まで含むかを確認する。経営者が担う最終判断も明確にする。
注意点:外部へ丸投げして社内に判断理由が残らない状態は避け、施策履歴と学びを蓄積する運用を設けます。
外部の責任者機能や戦略整理の支援内容は、TAVIAのコンサルティングサービスをご覧ください。
COMPARISON
5つの対策を比較すると、何が違うのか
各方法には、解決しやすい問題と、 社内に残すべき役割があります。 費用の大小だけではなく、 誰が判断し、どのような能力を 確保したいかで比較します。
| 方法 | 強み | 向いている課題 | 主な担当 |
|---|---|---|---|
| 業務の整理 | すぐ着手しやすい | 施策が多すぎる | 経営者・既存担当者 |
| 社内育成 | 知見が社内に残る | 担当者はいるが経験不足 | 社内担当者・教育担当 |
| 新規採用 | 長期的な専任体制を作る | 継続業務が多い | 新規採用者・管理者 |
| 実務の外注 | 専門的な実行力を補う | 方針はあるが制作工数不足 | 外注先・社内窓口 |
| 外部責任者 | 判断と施策を横断する | 方針・優先順位が不明確 | 外部責任者・経営者 |
DECISION GUIDE
自社はどの対策から始めるべきか
選択に迷ったら、まず以下の5項目を確認します。 チェックが付かない項目が、 体制設計の論点になります。
人材不足を見極めるチェックリスト
- どの顧客を増やしたいか決まっている
- 今のマーケティング施策と担当工数を把握している
- 不足しているのが実行時間・専門スキル・判断力のどれか説明できる
- 問い合わせから受注までの成果を確認できる
- 採用・育成・外注のどれを選んでも責任者が決まっている
施策の目的が定まっていない場合は、 最初に業務整理と責任分担から着手します。 すでに目標と進め方が決まっている場合は、 育成・採用・専門業務の外注を比較すると 判断しやすくなります。
判断を経営者一人に集中させないための考え方は、責任者がいない会社の課題と解決策にも整理しています。
FIRST 30 DAYS
最初の30日間で行うこと
人を追加する前に、必要な仕事と判断基準を 明確にすると、採用や外注への投資を 評価しやすくなります。
1週目
業務と施策の棚卸し
誰が何をしているか、月の工数・費用・狙い・結果を洗い出し、「未計測」の項目も把握する。
2週目
不足している機能を特定
実行工数・専門スキル・意思決定のどこが不足しているかを分け、改善したい指標を決める。
3週目
体制と発注範囲を決定
社内育成・採用・外注などの候補から選び、担当者・権限・成果物・評価方法を明文化する。
4週目
優先施策を試して検証
まず重要な施策を小さく実行し、問い合わせ・有効商談・費用・工数を週次で確認する。
30日後に残したい成果物
- 優先顧客と、最も重要な事業目標
- 継続・停止する施策と、それぞれの判断理由
- 社内・採用・外注の役割と責任分担
- 問い合わせ・有効商談・受注を確認する管理表
FREQUENTLY ASKED QUESTIONS
マーケティング人材不足について よくある質問
マーケティング人材がいない場合、最初に採用すべきですか?
必ずしも採用が最初ではありません。既存施策の整理と、何の仕事が不足しているかの切り分けが先です。継続的な業務が十分にある場合は採用が選択肢になります。
マーケティングの実務はすべて外注できますか?
Web制作や動画編集など、範囲を定義しやすい実務は外注しやすい一方、事業目標や対象顧客に関する最終判断は社内で担う必要があります。
人材不足とマーケティング責任者不在は何が違いますか?
人材不足は業務を実行する工数や専門スキルの不足を含みます。責任者不在は、戦略・優先順位・予算・検証などの判断機能が不足している状態です。両方が同時に発生することもあります。
小規模なBtoB企業でもマーケティングは必要ですか?
組織の大小を問わず、誰にどの価値を届け、どう顧客接点を作るかの検討は必要です。ただし、専任担当者を必ず置く必要があるという意味ではありません。
SUMMARY
人材不足の解決は「採用すること」から 始めなくてもよい
マーケティングの人材不足には、 作業時間の不足、専門スキルの不足、 戦略・施策を決める責任者機能の不足という 異なる課題があります。 同じ「人が足りない」状態でも、 必要な解決策は異なります。
まず今の業務を整理し、 自社で担う仕事と外部へ委託する仕事を 明確にしましょう。 そのうえで、社内育成・採用・実務外注・ 外部責任者を選ぶことが重要です。
TAVIAは、不要な施策を増やすのではなく、 事業の状況に応じて何を優先するかを 整理することを大切にしています。コンサルティングサービスの詳細もあわせてご確認ください。
