Marketing / Management
マーケティング施策を増やす前に「やらないこと」を決めるべき理由
Webサイトを改善する。 SNSを始める。 SEO記事を書く。 広告を出す。 動画を作る。 営業メールも増やす。 マーケティング施策は、 気付くと増え続けます。 しかし、施策が増えたことと 事業が前へ進んだことは同じではありません。
著者:堺 巧光/ TAVIA代表
Conclusion
マーケティングで重要なのは、 施策数ではなく優先順位です
人員、予算、時間が限られる中小企業では、 すべてのマーケティング施策を 高い水準で同時に実行することは簡単ではありません。 だからこそ、 「何をやるか」と同じくらい 「今は何をやらないか」 を決める必要があります。 現在のボトルネックに集中し、 必要な施策へ資源を配分することが重要です。
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なぜマーケティング施策は増え続けるのか
マーケティング施策が増える理由の一つは、 課題に対して 「新しい施策を追加する」 という考え方になりやすいことです。
問い合わせが少なければSEO。 認知が弱ければSNS。 SNSが伸びなければ動画。 商談が足りなければ広告や営業メール。
一つひとつを見ると、 どれも間違った選択とは限りません。
ただし、 事業全体のどこが止まっているのかを確認せずに 施策を追加し続けると、 本当に改善すべき場所が見えにくくなります。
例えば
問い合わせ数が不足しているように見えても、 実際には問い合わせ後の商談化率が低いのかもしれません。
商談数が不足しているように見えても、 本当は対象顧客が曖昧で、 契約につながりにくい商談が増えているだけかもしれません。
TAVIAでは、 施策名から考えるのではなく、 まず事業と顧客獲得プロセスの現在地を整理することを重視します。
Reason 01
人・予算・時間が分散する
最も分かりやすい問題は、 経営資源の分散です。
例えば一人の担当者が、 Webサイト、 Instagram、 X、 YouTube、 SEO、 メルマガ、 広告まで担当しているとします。
どの施策も実行自体はできても、 一つひとつの施策を分析し、 改善する時間が不足しやすくなります。
結果として、 「毎週SNSを更新する」 「毎月記事を書く」 といった運用そのものが目的になり、 本来の目的である商談や契約との関係が見えにくくなります。
限られた資源で成果を出すには、 重要度の高い施策へ十分な時間を配分する必要があります。
Reason 02
何が効いたのか判断できなくなる
複数の施策を一度に変更すると、 結果が変化したときに 「何が効いたのか」 を特定しにくくなります。
Webサイトを変更し、 SEO記事を増やし、 SNS投稿も増やし、 営業メールも始めた。
その後、 問い合わせが月5件から10件になったとしても、 どの施策が成果に貢献したのか分からなければ、 次の投資判断が難しくなります。
マーケティングは 「施策を実行すること」 だけではなく、 実行した結果から次の判断をすることまで含みます。
検証できる単位まで施策を絞ることが、 改善の再現性につながります。
Reason 03
外注先ごとの部分最適が起きやすくなる
Web制作会社、 SNS運用会社、 広告代理店、 動画制作会社など、 マーケティングには多くの専門会社があります。
それぞれの専門性は重要ですが、 外注先ごとに成果指標が異なると、 会社全体としての優先順位がずれる場合があります。
- Web
- アクセス数や問い合わせ数
- SNS
- フォロワー数やエンゲージメント
- 広告
- CV数やCPA
- 営業
- 商談数や契約数
個別の数字が改善していても、 最終的な契約や利益につながっていなければ、 事業全体では成果が出ているとは限りません。
そのため、 各専門会社の上に 「事業全体を見て優先順位を判断する機能」 が必要になります。
この役割が不在の場合については、マーケティング責任者がいない中小企業で起きる7つの問題でも詳しく解説しています。
Reason 04
現場の運用負荷が増える
マーケティング施策には、 実行以外にも多くの業務があります。
- 企画を考える
- 制作する
- 公開する
- 数字を集計する
- 結果を分析する
- 改善案を考える
- 外注先と打ち合わせる
- 営業へ情報共有する
施策が一つ増えるたびに、 この管理業務も増えていきます。
特に中小企業では、 マーケティング専任者ではなく、 営業や経営企画などと兼務している場合もあります。
施策数を増やした結果、 本来重要な顧客対応や営業改善の時間が減るのであれば、 施策を増やした意味が薄れてしまいます。
Reason 05
一度始めた施策をやめられなくなる
マーケティング施策には、 「始める判断」 だけでなく 「やめる判断」 が必要です。
しかし現実には、 一度始めると 「ここまで続けたから」 「少しずつ数字が増えているから」 という理由だけで継続されることがあります。
これは、 始める前に停止条件を決めていないことが 原因の一つです。
始める前に決めたいこと
- 何を目的に行うのか
- 何をKPIにするのか
- 何ヶ月検証するのか
- どの数字なら継続するのか
- どの状態なら改善するのか
- どの状態なら停止するのか
停止条件が決まっていれば、 感情ではなく数字で判断できます。
Decision Criteria
「やらないこと」を決める5つの基準
施策を減らすときに、 担当者の感覚だけで判断する必要はありません。
次の5項目で整理すると、 優先順位を比較しやすくなります。
01
今の経営目標につながるか
売上、商談数、契約数、粗利など、現在追っている経営目標と施策の関係を説明できるか確認します。
02
今のボトルネックを改善するか
問い合わせ不足なのか、商談化率なのか、提案率なのか。止まっている工程と施策が対応しているか確認します。
03
責任者を決められるか
誰が実行し、誰が数字を確認し、誰が継続・変更・停止を判断するのかを明確にします。
04
KPIを設定できるか
「頑張る」ではなく、何を見れば施策が機能しているか判断できるのかを数字で決めます。
05
停止条件を決められるか
いつまで検証し、どの状態なら続け、何が起きたら変更・停止するのかを始める前に決めます。
この5つを説明できない施策は、 少なくとも 「なぜ今やるのか」 を再確認する必要があります。
Practical
マーケティング施策を1枚に並べる
実際に整理するときは、 現在行っている施策を 一つの表にまとめます。
| 施策 | 目的 | KPI | 担当 | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| SEO | 検索から新規接点を作る | 問い合わせ数 | 担当者A | 継続 |
| SNS | 認知・信頼形成 | 商談への流入 | 担当者B | 要検証 |
| 広告 | 問い合わせ獲得 | 商談数・CPA | 外部会社 | 要改善 |
大切なのは、 実際の施策名ではなく 「なぜ行っているか」 が一目で分かる状態にすることです。
目的・KPI・担当者を説明できない施策があれば、 それが見直し候補です。
施策全体を詳細に診断する必要がある場合は、Marketing Auditで現在地と優先順位を整理します。
Common Mistakes
「やらないこと」を決めるときの3つの間違い
1. 成果が出ていない施策をすぐに止める
施策によって成果が出るまでの期間は異なります。 短期的に成果がないという理由だけで止めるのではなく、 あらかじめ検証期間を決める必要があります。
2. 担当者が忙しいから止める
重要な施策なのに担当者の工数だけを理由に止めると、 本来必要な顧客獲得経路まで失う可能性があります。
重要度が高いのであれば、 他の業務を止める、 役割を変える、 外部を活用する、 といった選択肢もあります。
3. 経営者の感覚だけで決める
最終判断は経営者が行うとしても、 数字や判断基準がなければ 「最近SNSが伸びていない」 といった印象だけで判断することになります。
判断するための数字を先に決めておくことが重要です。
FAQ
よくある質問
- マーケティング施策は多い方が成果につながりやすいですか?
- 必ずしもそうではありません。人員・予算・時間が限られている中小企業では、施策を増やすほど一つひとつの実行量や改善量が不足する場合があります。重要なのは施策数ではなく、現在のボトルネックに対して必要な施策へ十分な資源を配分できているかです。
- 何をやらないかは、どのように決めればよいですか?
- まず事業目標と現在のボトルネックを整理します。そのうえで各施策について、目標との関係、期待する成果、必要な工数、担当者、KPI、いつまでに何を確認するかを明確にします。説明できない施策や、今のボトルネックと関係が薄い施策は優先順位を下げる候補になります。
- すでに始めているSNSや広告を止めるべきでしょうか?
- 一律に止める必要はありません。成果につながっているか、顧客獲得プロセスのどこを担っているか、継続に必要な工数と費用は適正かを確認します。感覚で継続・停止を決めるのではなく、判断基準を設定することが重要です。
- 施策を減らすと売上が落ちるのが不安です。
- 成果に貢献している施策まで止める必要はありません。「やらないことを決める」とは、無条件に施策を減らすことではなく、重要度の低い施策へ使っている資源を優先度の高い領域へ戻すことです。
- 自社で優先順位を決められない場合、TAVIAに相談できますか?
- はい。無料相談では現在の状況やお悩みを伺い、TAVIAがお力になれる領域があるかを確認します。詳細な現状分析、ボトルネック特定、優先課題、改善方向の整理はMarketing Auditまたはご契約後の支援として行います。
