BtoB Customer Acquisition
BtoBで新規顧客を増やすには?7つの原因と6ステップ|紹介・社長営業依存から脱却
BtoB企業で「新規顧客が増えない」という問題が起きたとき、 Web、SNS、広告、SEO、営業代行など、 新しい施策を追加することから考えてしまうケースがあります。 しかし、本当に見直すべきなのは施策の数ではなく、 顧客獲得全体の構造です。
著者:堺 巧光/ TAVIA代表
Conclusion
新規顧客を獲得できないとき、 最初に見るべきなのは 「施策不足」ではなく「顧客獲得の構造」
BtoBの新規顧客獲得は、集客施策だけで完結しません。 誰を顧客にするのか、なぜ選ばれるのか、 どこから接点を作るのか、どの基準で商談へつなぐのか、 どの数字を追うのかまで一つの流れとして設計する必要があります。
特に、紹介や代表者の営業力によって売上を作ってきた会社ほど、 「営業できる会社」と 「会社として新規顧客を獲得できる会社」は 別だと考えることが重要です。
Why
なぜBtoB企業の新規顧客獲得は難しくなるのか
BtoBでは、Webサイトを見た人が その場ですぐ購入するとは限りません。
情報収集、比較、問い合わせ、商談、社内検討、提案、稟議など、 契約までに複数の段階が発生することがあります。
そのため、 「アクセスが増えた」「問い合わせが増えた」だけでは、 新規顧客獲得が成功しているとは判断できません。
逆に、問い合わせが少なく見えても、 対象顧客からの商談化率や受注率が高ければ 強い顧客獲得経路になっている可能性があります。
重要なのは、一つの施策だけを見るのではなく、 接点から受注までの全体を見ることです。
| 段階 | 確認すること | よくある問題 |
|---|---|---|
| 認知・接点 | 対象顧客へ届いているか | そもそも接点がない |
| 興味・比較 | 選ばれる理由が伝わっているか | 他社との違いが分からない |
| 問い合わせ | CTAと導線が機能しているか | 閲覧されても相談につながらない |
| 商談 | 対象顧客が商談化しているか | 質の低い問い合わせが多い |
| 受注 | 提案と課題が一致しているか | 商談はあるが契約できない |
Seven Causes
BtoB企業が新規顧客を獲得できない7つの原因
新規顧客獲得が安定しない会社では、 一つだけではなく複数の原因が重なっていることがあります。
CAUSE 01
誰を顧客にするのか曖昧
対象顧客が広すぎると、訴求、営業リスト、コンテンツ、広告、提案内容まで曖昧になります。
よくある状態
「中小企業全般」「法人なら幅広く対応できます」のように顧客像が広い
見直すポイント
業種、企業規模、課題、決裁者、予算、購買タイミングなどから優先顧客を具体化する
CAUSE 02
なぜ自社が選ばれるのか言語化されていない
提供サービスの説明はできても、競合や代替手段ではなく自社を選ぶ理由が明確でないと商談につながりにくくなります。
よくある状態
Webサイトや営業資料が「対応できます」「高品質です」といった一般的な説明に偏っている
見直すポイント
顧客課題、提供価値、他の選択肢との違い、実績・証拠、導入後の変化を整理する
CAUSE 03
紹介・社長営業に依存している
代表者の人脈や紹介は強い営業手段ですが、それだけでは商談数を会社として計画しにくくなります。
よくある状態
今月何件商談が生まれるか、代表者の予定や紹介の発生次第になっている
見直すポイント
紹介を残しながら、アウトバウンド、Web、コンテンツなど再現可能な経路を一つ追加する
CAUSE 04
集客チャネルを増やしすぎている
SEO、SNS、広告、YouTube、メール営業などを同時に始めると、どの施策が有効なのか判断できなくなることがあります。
よくある状態
施策数は多いが、各施策の目的、KPI、担当者、継続・停止条件が決まっていない
見直すポイント
顧客獲得までのボトルネックを確認し、最優先チャネルへ人・時間・予算を集中する
CAUSE 05
営業とマーケティングが分断している
マーケティングが問い合わせを集めても、営業側が欲しい顧客と一致していなければ受注にはつながりません。
よくある状態
営業が「問い合わせの質が悪い」と言い、マーケティング側は「問い合わせ数は増えている」と評価している
見直すポイント
対象顧客、案件化条件、引き渡し基準、商談結果、失注理由を営業とマーケティングで共有する
CAUSE 06
KPIが問い合わせ数で止まっている
問い合わせが増えても、商談や受注につながらなければ事業成果にはなりません。
よくある状態
アクセス数、フォロワー数、問い合わせ数は追っているが商談化率・受注率は追っていない
見直すポイント
流入から問い合わせ、商談、提案、受注まで一つのファネルとして数値を管理する
CAUSE 07
顧客獲得全体の責任者がいない
施策ごとの担当者はいても、全体の優先順位と数字に責任を持つ人がいないと、改善判断が遅くなります。
よくある状態
Web、営業、SNS、広告がそれぞれ別々に動き、最終判断がすべて代表者へ集中している
見直すポイント
顧客獲得全体を見る責任者を決め、定期的にKPIと施策の継続・停止・改善を判断する
Cause 01
原因1:誰を顧客にするのか曖昧
新規顧客獲得を考えるとき、 最初に整理したいのが「誰に売るのか」です。
対象顧客が「中小企業」「経営者」「法人全般」と広すぎると、 営業リストも、Webサイトの訴求も、広告も、 コンテンツも曖昧になります。
例えば、同じBtoB企業でも、 従業員5名の会社と100名の会社では 意思決定の流れや課題が違います。
顧客像を整理するときは、 業種だけではなく、企業規模、課題、決裁者、商材単価、 現在の獲得方法、購買タイミングなども確認します。
顧客像を絞る目的は、市場を狭めることではない
最初に優先する顧客を決めることで、 営業・マーケティングの精度を上げることが目的です。 検証後に対象を広げることはできます。
Cause 02
原因2:なぜ自社が選ばれるのか言語化されていない
顧客像を決めても、 「なぜ自社へ相談するべきなのか」が伝わらなければ 商談にはつながりません。
多くのサービスで使える 「丁寧に対応します」「高品質です」「一気通貫です」 という言葉だけでは、 比較時の判断材料になりにくくなります。
整理したいのは、 顧客が抱えている問題と、 その問題に対して自社がどのような価値を提供するのかです。
最低限整理したい5項目
- どのような会社の
- どのような問題を
- どのような方法で解決し
- 他の選択肢と何が違い
- 導入後にどのような状態を目指すのか
Cause 03
原因3:紹介・社長営業に依存している
紹介営業や社長営業そのものが悪いわけではありません。
特に創業初期や高単価BtoBサービスでは、 経営者の信用、人脈、業界経験から 受注が生まれることがあります。
問題は、それ以外の商談経路がなく、 新規案件数を会社として計画できない状態です。
代表者が営業を止めれば新規案件も止まる。 紹介が減れば商談も減る。
この状態から抜けるには、 紹介を捨てるのではなく、 第二・第三の顧客獲得経路を追加します。
Cause 04
原因4:集客チャネルを増やしすぎている
新規顧客が増えないと、 新しい施策を追加したくなります。
SEO、SNS、広告、YouTube、メール営業などを 少人数の会社で同時に動かすと、 一つひとつの検証量が不足し、 結局どれが有効だったのか 判断できなくなることがあります。
必要なのは施策数ではなく、優先順位です。
施策を増やす前に、マーケティング施策を増やす前に「やらないこと」を決めるべき理由も確認してください。
Cause 05
原因5:営業とマーケティングが分断している
BtoBの顧客獲得では、 マーケティングだけで契約まで完結するとは限りません。
問い合わせ後に営業担当が商談し、 ヒアリングし、提案し、契約するのであれば、 マーケティングと営業は一つの顧客獲得プロセスです。
ところが、 マーケティング側が問い合わせ数だけを追い、 営業側が受注だけを追っていると、 その間で何が起きているか分かりません。
営業が求める顧客像、商談化条件、失注理由、受注理由を マーケティングへ戻す仕組みが必要です。
営業とマーケティングが分断している会社をどう立て直すかCause 06
原因6:KPIが問い合わせ数で止まっている
Webや広告を運用すると、 アクセス数、クリック数、問い合わせ数などは 比較的把握しやすくなります。
しかし、BtoBでは問い合わせ後の数値も重要です。
顧客獲得で確認したい基本ファネル
01
接点
02
問い合わせ
03
商談
04
提案
05
受注
問い合わせ数は増えているのに商談が増えていないのであれば、 問い合わせの質や商談化条件に問題がある可能性があります。
商談数は多いのに受注できていないのであれば、 問題は集客ではなく提案や営業プロセスかもしれません。
Cause 07
原因7:顧客獲得全体の責任者と改善サイクルがない
最後の原因は、 顧客獲得全体を見る責任者がいないことです。
Web制作会社はWebを見る。 広告会社は広告を見る。 営業担当は営業を見る。
それぞれの専門家が自分の担当領域を見ることは自然ですが、 会社全体として 「今どこがボトルネックなのか」 「次に何へ投資するのか」 を決める人が必要です。
この役割がいないと、 各施策は動いていても顧客獲得全体は最適化されません。
マーケティング責任者不在で起きる問題については、マーケティング責任者がいない中小企業で起きる7つの問題でも詳しく整理しています。
How To Fix
再現性のある新規顧客獲得の仕組みを作る6ステップ
新規顧客獲得を仕組みに変えていく場合は、 次の順番で整理すると全体を見やすくなります。
STEP 01
現在の顧客獲得経路を可視化する
紹介、代表営業、問い合わせ、広告、SNS、SEOなど、現在どこから商談と受注が生まれているかを整理します。
STEP 02
優先顧客を決める
誰でも対象にするのではなく、自社が価値を出しやすく、受注可能性と収益性の高い顧客像を絞ります。
STEP 03
選ばれる理由を言語化する
顧客の課題、自社の価値、他社との違い、実績、導入後の変化を営業・Web・コンテンツで共通化します。
STEP 04
主要チャネルを絞る
すべての施策を始めるのではなく、顧客像と購買プロセスに合う主要チャネルを優先します。
STEP 05
営業まで含めてKPIを設計する
問い合わせだけで終わらず、商談、提案、受注まで一続きで計測し、ボトルネックを特定できる状態を作ります。
STEP 06
責任者を決め、改善を繰り返す
数字を見て、何を続けるか、何をやめるか、何を改善するかを定期的に決める役割を明確にします。
この6つを整理すると、 「とりあえずSNS」「とりあえず広告」ではなく、 自社に必要な施策を判断しやすくなります。
Priority
では、結局何から始めるべきか
すでに新規顧客獲得に困っている場合でも、 最初から大規模な施策を始める必要はありません。
まずは、 今の顧客がどこから来ているのかを確認します。
そのうえで、 最も大きなボトルネックを一つ選びます。
| 状況 | 優先して確認すること |
|---|---|
| そもそも商談がない | 顧客像・訴求・接点チャネル |
| 問い合わせはあるが商談にならない | リード品質・商談化条件・導線 |
| 商談はあるが受注できない | 営業・提案・価格・競合比較 |
| 受注はできるが代表者依存 | 営業プロセス・役割・標準化 |
| 何が問題か分からない | 現状診断・数値・優先順位 |
新規顧客獲得で重要なのは、 最も目立つ問題ではなく、 最も大きな制約になっている場所から改善することです。
FAQ
BtoB企業の新規顧客獲得についてよくある質問
- BtoB企業が新規顧客を獲得できない一番大きな原因は何ですか?
- 会社によって異なりますが、施策不足だけが原因とは限りません。誰を顧客にするのか、なぜ選ばれるのか、どの導線で商談を作るのか、営業へどう引き渡すのか、どの数字を追うのかが整理されていない状態では、施策を増やしても成果につながりにくくなります。
- BtoB企業はどの集客方法から始めるべきですか?
- Web、SEO、広告、SNS、アウトバウンドなどから先に選ぶのではなく、対象顧客、商材単価、営業プロセス、既存の強み、社内リソースを確認してから決めることが重要です。最初はすべてを同時に行わず、仮説を検証しやすい主要チャネルを絞る方が管理しやすくなります。
- 紹介営業はやめた方がよいですか?
- 紹介営業自体をやめる必要はありません。紹介は有効な顧客獲得経路の一つです。問題は、紹介が止まったときに新規商談を作る別の経路がない状態です。紹介を残しながら、会社として再現可能な顧客獲得経路を追加することが重要です。
- 新規顧客を増やすために、まずWebサイトを作り直すべきですか?
- 必ずしもWebサイト改修が最初とは限りません。ターゲットや訴求が曖昧なままサイトだけを作り直しても、成果につながらない可能性があります。現在のボトルネックを確認し、Webサイトが本当に優先課題なのかを判断することが先です。
- 問い合わせ数だけをKPIにしても問題ありませんか?
- 問い合わせ数だけでは不十分な場合があります。BtoBでは問い合わせ後の商談化率、提案率、受注率、受注単価などまで確認しないと、どこがボトルネックなのか判断できません。最終的な契約までつながるKPI設計が重要です。
- 新規顧客獲得の課題が整理できない場合はどうすればよいですか?
- 施策を追加する前に、現在の顧客獲得経路、営業プロセス、KPI、対象顧客、訴求、実行体制を整理します。TAVIAでは詳細な現状診断、ボトルネック、優先課題、改善方向の整理をMarketing Auditとして提供しています。
